楽曲「マリー・アンドロイド」考察 part1
前回は楽曲「マリー・アンドロイド」の歌詞を紹介させていただきました
ではここから、その歌詞とMVの映像を掘り下げていこうと思います
まず、この楽曲を考察し始めたきっかけのシーンからご覧いただきましょう
それは2番のサビの直前、一瞬だけ映るこのシーンです
左から「手榴弾」「野球のグローブ」
そして、製品名は伏せますが一番右には「アダルトグッズ」
歌詞はさておき、全体的にファンシーなMVの中で、突然突きつけられる生々しいアイテム
このアイテムに違和感を覚え、考察に至ったわけです
そして、自分が一番納得できる仮説を立てました。それは
「人間のマリーちゃんは、軍人達に体を売っていた」
というものです
手榴弾=戦争
野球のグローブ=軍人達の娯楽として親しまれていたスポーツ
アダルトグッズ=性的なもの
という安直な発想ではありますが、その前提で歌詞を読んでいくと、なんとなく辻褄が合うような気がします
では、少し読み解いていきましょう
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狐のホラ話
あの日追いかけていた兎が野たれ死んでいた
ダッチドールは今日でお別れ 金やダイヤはハートじゃないんだ
歯抜けのマッチ売りがこん畜生と咽び泣いていた
ビットレートが0の乞食も一丁前に愛されたいんだ
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「狐のホラ話」というのは「この物語の真偽は秘密」という青山ジンベエ氏の(もしくはマリーちゃん本人の)前置きのようなものだと思っています
MV冒頭、マリーちゃんと一緒に並んでいるのがピノキオなのも「ホラ話」と絡めているのだと思います
このピノキオ鼻が伸びていないので「本当の話」であることを表現しているのかもしれません
「あの日追いかけていた兎が野たれ死んでいた」
兎を追いかけるといえば「不思議の国のアリス」が真っ先に思い浮かびます
そしてアリスといえば「純朴な少女」としてしばしば語られることが多いかと思われます
幼い頃のマリーちゃんが「純朴な少女」であったことを表しているわけです
また、MVが終始テレビの枠内で展開されていることから、駆け出しのアイドルだったという説を置いてみます
清純な美少女アイドルマリーちゃん
彼女の未来には無限の可能性があったことでしょう
しかし「兎は野垂れ死んでいた」
これはつまり、純朴な少女、清純なアイドルではいられなくなったことを表現しているのではないでしょうか
その理由は先述の通り「体を売ることになってしまったから」
アイドルだったマリーちゃんが体を売ることになってしまった経緯についても仮説を立てているので、後日説明させていただこうかと思います
「ダッチドールは今日でお別れ 金やダイヤはハートじゃないんだ」
これはこの物語の起承転結でいうところの「起」だと考えています
今まで散々体を売ってきたけど、それも今日で終わりにしようというマリーちゃんの決意が
「ダッチドールは今日でお別れ」に表れているのだと思います
お金(金やダイヤ)はそれなりに稼いできたけれど、そんなものよりも「ハート」が欲しい
マリーちゃんは、お金よりも愛情を欲したということですね
「歯抜けのマッチ売りがこん畜生と咽び泣いていた」
マッチ売りといえば、マッチ売りの少女
アリスと同様に童話の主人公であることから、マリーちゃんのように体を売って暮らしている他の女の子、いわゆる同業者かと思われます
もしかしたら彼女も元々はアイドルだったのかもしれませんね
「ビットレートが0の乞食も一丁前に愛されたいんだ」
体以外に価値が無い私たちだって、本当は普通に恋をしたいといった意味でしょうか
「金やダイヤはハートじゃない」に続いて、またも愛情を欲している歌詞
マリーちゃんの切実な気持ちが表現されています
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プリィズ テイクミー ネバーランド いい子のフリやめたいなら
大人を喜ばす木偶の嘘に耳を貸す暇はないの
アイビリービンネバーランド 鍵穴の先見たいのね?
じゃあせーのでトぼうか馬鹿だけ見えるふざけた正装で
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ここは、今の暮らしを捨てる決意のようなものだと思います
自分を好き勝手にしてきた大人たちに嫌気がさし、半ば投げやりにも聞こえる決意
ただここの歌詞は、誰かに語りかけているような口調です
その「誰か」とネバーランド(幸せな世界)にトぼうとしていると考えられます
「馬鹿だけ見えるふざけた正装」とは、裸の王様の「馬鹿には見えない服」の皮肉でしょうか
馬鹿には見えないと言っておきながら実際は何も着ておらず、それでも馬鹿だと思われたくない王様や民衆が褒めそやした「服」…つまり「裸」
この場合の裸とは服を着ていないということではなく、見栄や建前など、大人の小狡い事情を取っ払った状態を指しているのだと思います
マリーちゃんが全てを捨ててまで今の生活から抜け出そうとした理由については、また次回解説していきたいと思います